いつかの花火【企】
「買い過ぎた…」
両手にめーいっぱいの買物袋。
買い物が終わった頃には日が落ちてしまった。
もうすぐ花火も打ち上げることが出来そうな空。
早く作ってしまおう…
結局、ワインは買ったけど、料理はつまみみたいになってしまった…。
ま…いいかなぁ。
鶏のから揚げ。
一度だけ家にあったものを出してあげたら彼は気に入っていた。
だからやっぱりこれ。
下準備はしてあるし、後は揚げるだけ。
揚げたていつか食べさせてあげる約束したし。
………。
遅いな…?
いつもならそろそろ来るはず。
…だけど来ない。
連絡…も取れないのよね。
よく考えたら携帯も知らない…。
彼は何故か私の家を知っていたけど、私は知らない…。
―ドォォォーンッ!!!!
「…あ。」
花火も始まってしまった。
開始と同時に乾杯するつもりだったのに…
空のグラスに花火が映る。
泡にキラキラ。
海の中の花火みたい。
今日は…
来ないの……?