いつかの花火【企】
「なんで…?」
私はそう言うのが精一杯。
「なんでって…そんなの…。と、とりあえず泣き止んで。ほら。」
彼は私の泪を拭ってくれる。
気のせいかな…顔が少し赤い。
「涙…?大丈夫?」
「…うん。」
「ゆっくり歩きながら話そうか?」
彼は笑顔で手を差し延べてくれた。
二人で手を繋いで歩き出す。
ドキドキが伝わってしまいそうな距離。
しかもなんだか私の方が子供みたい。
「それで。涙は俺のこと嫌い?」
「違う。」
「じゃあ…避けてた?」
「…ごめんなさい。」
「どうして…?」
「……。」
言えない。
言わないと伝わらないこともあるのは解ってる。
でもね、言えない。
同じ気持ちじゃないと、一緒には居られないから。
「…わかった。じゃ、今日で最後にするよ。」
「………。」
それは嫌。
それすら伝えられない。
「だけどお土産だけ受け取って。」
「え……?」
そう言って彼は小さな包みを出した。