いつかの花火【企】
「…って。」
私の声が彼に届かないのか振り向かない。
声……届いて!!
「咲夜待って!!」
「………涙?」
力いっぱい叫んだ2度目の声は彼に届いた。
彼は一瞬戸惑って、こちらに駆け寄ってきた。
「涙…?どうしたの?あ、また泣いてる。」
そう言って泪を拭う。
優しい顔。
「…私。君と…咲夜と花火がしたい。」
「え…?…花火?」
ますます戸惑う彼。
伝わらない。
受け止めて……?
息を吸ってしっかり伝えたい。
私の気持ち…。
「ずっと…君と一緒がいい。」
「え………。」
今度は彼が固まる番だった。
すごく驚いた顔。
…当たり前か。
心なしか彼の顔が赤くなっている。
「涙…ほんと…?」
―…コクン。
恐る恐る聞く彼に頷く。
怖くて顔はもう見れない。