いつかの花火【企】



―昼休み―

いつものカフェ。
これが唯一の楽しみ。
というか、ストレス解消。
ここのココアが美味しい。

「涙?」

「え…?」

振り向くとどこかで見た顔…。

「やっぱり!今お昼?」

「君は昨日の…。」

「咲夜だってば!そっち行っていい?」

や、来なくていい…。
ストレスを解消する為の貴重な昼休みなのに…。

「こんにちはっ。」

「どうも…。」

どうやら昨日の事は夢ではないらしい。
彼は有無を言わさず目の前に現れて座った。

「うぁっ……。涙お昼それだけ…?」

「悪い…?」

テーブルには小さいサラダとサンドイッチ。
この店のツナとチーズのサンドがお気に入り。

「俺それだけじゃ全然足りない…。」

「でしょうね。」

そう言いながら彼はメニューを見て、パッと頼む。
出てきたのはピザにハンバーガー二つにスパゲッティ…?!

「君…それ全部食べるの?」

「咲夜。何回言ったら解るの?これくらい軽いよ。」

「…そうなの?」

男の子ってよく食べるんだ…。
次から次へ見事な食べっぷり。
数十分もしない間に食べ終わってしまった。

「デザートどうしよ…。涙も食べる?」

「えっ…?…まだ食べるの?」

「うん。ここのケーキ美味しいし。いる?」

「…私はいい。」

「そ?すみませーん!」

そしてホントにケーキを食べ始める。
食べ過ぎ…じゃないのかな?
見てるだけで胸やけしそう。



その様子を見ていたら、あっという間に時間は経ってしまった。

「あ、ごめん、昼休み終わるから私戻るね。」

「え、もう?」

「いいよ、君はゆっくりで。」

「うん。ってか咲夜だって。」

「はいはい。じゃぁね。」

「あ、それ置いてっていーよ、一緒に払うから。」

「そういうわけにはいかないわ。」

そう言って席を立つ。

「あ、涙待って。」

「なに?」

「今夜も、屋上でね。」

「…え?」

「ほら、遅刻だよ!」

「あ…うん。じゃ。」

…なんなの?
私なんかした???

まったく解らない…。



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