キーホルダー
美流は、自分の仕事であるラジカセの管理(演劇で使う)をしていた。
渚も美流と同じ演劇を選択している。
だが映像を流すことが、彼女の役割だ。
美流の担当である音響と、渚の担当である映像は活動場所が一緒だ。
クラスも一緒なため、一緒に体育館に行く。
とても苦痛な時間だ。
それでも、美流は演劇が大好きだった。
ドーン、ドーン…
ダン、ダンダン…
和太鼓の力強い音が体育館に響く。
その音が、苛立つ美流の心を癒した。
いや、その音を奏でる瞬が癒したのかもしれない。
体育館の隅で、ラジカセの電源を入れながら、カセットテープを確認した。
演劇というのは、やたら音楽を流す場所が多いのだ。
タイミングを1つ間違うと、役者にとても怒られる。
それが裏方だ。
「よーし。今日はこれで終わりだ。解散。」
和太鼓の練習も終わったらしい。