キーホルダー
ステージで本番と同じように練習している瞬に目を奪われた。
たくさん人はいるのに、何故か瞬しか目に留まらなかった。
この時から……
いや、多分出会った時から好きだったのだと思う。
でも認めていなかった。
認めたくなかった。
そんな簡単に恋なんてしない。
あんな辛い思いなんて2度としたくないから。
ずっと気持ちを抑えてきた。
簡単に恋愛なんてしないように。
「まだまだ俺のが上手いぜ~。和太鼓じゃ負けねぇ。」
でも、気がつくと瞬を目で追っていた。
ステージからは少し離れた場所なのに、瞬の声が耳に残って離れない。
「けっ。瞬は上手すぎなんだよ。ばーか。」
彼らが美流のいる体育館の端の方に来た。