傷恋(キズコイ)
偶然!?必然!?
人混みでごった返えする中、一組の男女が僕の目を引く。
その日、たまたま入学式の会場近くの書店に本を取りに行って、今日が入学式なんだって思い出した。
もう、式典は済んだ後なのか、会場前は写真を撮るためにデジカメや携帯を片手にはしゃいでいるヤツばかり。
そんな中、あの二人の周りだけ妙に落ち着いた雰囲気で、そのくせ二人の世界みたいなオーラを振りまいていて目が離せなかった。
「榊…?」
自分の記憶にある顔と照らし合わせ、一致する。
榊征也。
僕は彼が嫌いだった。
いや『だった』じゃない。『嫌い』だ。
今も昔も。
別に彼が何をしたって訳でもない。
もし、僕の感情を彼にぶつけたとしたら、彼は不思議そうに首を傾げるだろう。
自分には嫌われる心当たりがないと。
僕達には、そんな感情を持つほどの交流はない。
けど、僕は彼が嫌いだった。
その日、たまたま入学式の会場近くの書店に本を取りに行って、今日が入学式なんだって思い出した。
もう、式典は済んだ後なのか、会場前は写真を撮るためにデジカメや携帯を片手にはしゃいでいるヤツばかり。
そんな中、あの二人の周りだけ妙に落ち着いた雰囲気で、そのくせ二人の世界みたいなオーラを振りまいていて目が離せなかった。
「榊…?」
自分の記憶にある顔と照らし合わせ、一致する。
榊征也。
僕は彼が嫌いだった。
いや『だった』じゃない。『嫌い』だ。
今も昔も。
別に彼が何をしたって訳でもない。
もし、僕の感情を彼にぶつけたとしたら、彼は不思議そうに首を傾げるだろう。
自分には嫌われる心当たりがないと。
僕達には、そんな感情を持つほどの交流はない。
けど、僕は彼が嫌いだった。