傷恋(キズコイ)
私と目が合っても動揺は全くなく、無言で私の腕を掴むとその場から引きずるようにして連れ出された。







乱暴ではなかったけど、強引に教室に押し込まれた。

「あんまり見られたくはなかったですけど、仕方ないですね」

さっきまで結衣にあんな事をしてたなんて信じられないぐらい穏やかな口調。

いや、結衣に対しても終始穏やかだった。
行動は別として。

「どうして…?どうして…結衣に……あんな事ッ」

私の困惑に構わず前に立つ先生は口元に笑みすら浮かべている。

「神崎さんは悪くないですけどね…」

意味がわからない。

「先生は…結衣が好きなの…?」

「それは嫉妬ですか?」

私の想いは先生にわかっていたんだ…。

固まる私の手を先生が掴み、引き寄せられる。

「せ…んせ…い…?」

「お望みなら神崎さんにしたのと同じ事をしてあげましょうか?」

先生の顔が近づいて私の首筋に唇が触れた。
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