傷恋(キズコイ)
「それって屁理屈だよね」
「屁理屈じゃありません。事実を言ったまでです」
私を頑固者だと言うけれど、絶対先生の方が頑固者だと思う。
「頼まれた物、ちゃんと買ってきたよ」
「ありがとう」
椅子を返して、微笑む先生に胸がキュンとなる。
征也さんに会って以来、先生は時々こんな笑顔を向けてくれる。
温和だけど、どっちかというと人を寄せ付けない雰囲気だったのにな。
「痛みはどう?見た目はだいぶよくなってるみたいだけど」
「そうですね。もうそろそろ出勤出来そうです」
「そう。よかった」
傷が治るのは喜ばしい事。
だけど、先生のお手伝いという名目がなければ、もうここには訪ねにくくなる。
「じゃあ、鍵も返さなくちゃね」
本当は残念。
だけど、それも仕方ない。
買ってきた荷物を片付けるため、この場から離れようとした私の手を先生が掴む。
「君にはずいぶんお世話になりましたね」
「……何もしてないよ…」
掴まれたところがやたらと熱く感じてドキドキする。
「何かお礼を…と思うんですが」
「そんなの別にいいよ」
「…キスしてもいいですか…?」
「え?」
「屁理屈じゃありません。事実を言ったまでです」
私を頑固者だと言うけれど、絶対先生の方が頑固者だと思う。
「頼まれた物、ちゃんと買ってきたよ」
「ありがとう」
椅子を返して、微笑む先生に胸がキュンとなる。
征也さんに会って以来、先生は時々こんな笑顔を向けてくれる。
温和だけど、どっちかというと人を寄せ付けない雰囲気だったのにな。
「痛みはどう?見た目はだいぶよくなってるみたいだけど」
「そうですね。もうそろそろ出勤出来そうです」
「そう。よかった」
傷が治るのは喜ばしい事。
だけど、先生のお手伝いという名目がなければ、もうここには訪ねにくくなる。
「じゃあ、鍵も返さなくちゃね」
本当は残念。
だけど、それも仕方ない。
買ってきた荷物を片付けるため、この場から離れようとした私の手を先生が掴む。
「君にはずいぶんお世話になりましたね」
「……何もしてないよ…」
掴まれたところがやたらと熱く感じてドキドキする。
「何かお礼を…と思うんですが」
「そんなの別にいいよ」
「…キスしてもいいですか…?」
「え?」