傷恋(キズコイ)
先生にもそれがわかったようで、悪戯っぽい顔を私に向けた。

「驚かせてやりたいんでね。きっと驚くだろうなぁ、榊くん」

先生の意外な面を見たようで、クスッと笑ってしまう。

「わかりました。先生がいいと言うまでは内緒にしておきます」

「ありがとう。お礼と言っては何ですが、せっかくなんで何か食べに行きますか?」

「はいッ」

結衣と友達になった事で先生と一緒に過ごせるなんて!
もう、結衣様々だよ!

歩きだす先生の横に並ぶと、夜風に乗って仄かに香る大人の匂い。

今度、同じ香水を探してみよう。
この香りを纏ったら、先生をもっと身近に感じられる気がするから…。
< 9 / 52 >

この作品をシェア

pagetop