最先端クローン技術
「何かあった?」
待ってましたと言わんばかりの笑顔を私に向け、叶夢は紙を私に渡した。
私が目を通す前にペラペラと嬉しそうに話し出す叶夢。
「外出許可が出た!これで自由だ!」
両手を伸ばし、頭の上で拍手を始める叶夢。
外出許可?
よく見ると承諾書には【未来】と記されていた。
奏が?
おかしい。
自分の患者は治らなければ決して離さない。
それが奏。
なのに完治していない療養中の叶夢の外出を許可した…?
叶夢は様子見の仮退院でハシャギ、サッカーをして倒れ再検査&入院になったヤツ。
こんなバカ。
また直ぐ入院になるに決まってる。
それは奏だって分かってるはず…。
「良かったね…!私ちょっと奏の処に行ってくる。」
「おぅ。なんかやらかしたか?」
背中に叶夢の言葉を受け、私は逃げるように病室を出た。