最先端クローン技術
「来たか。座れ。」
ナースステーションにノコノコ現れた私を、奏は奥に案内してくれた。
「言いたいことは分かるが黙って聞け。」
少し広い部屋に通された私は、先を越された。
「朽木叶夢に外出許可を出した。」
私を見下ろし、腰に手をあてる奏。
これではまるで叱られる子供だ。
「知ってる。」
知りたいのはそこじゃない。
「次に理由だ。朽木叶夢はもうじき死ぬ。」
「…は?」
間抜けな私は口を開き固まった。
死ぬ?
「朽木の心臓は限界だ。このままでは一月ももたない。」
わからない。
叶夢死ぬの?
心臓がもたない?
なんで?
「朽木のためにも。残りの一月を家で過ごさせる。」
「…見放すの?」
簡単なことだ。
心臓提供者が現れるまで叶夢は生きられない。
だから病院から追い出す。
私のせい?
私が早く心臓を差し出さないせい?