ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
或る心象風景 Ⅲ
多分私は――
棲むべき世界を間違えた。
無駄と退屈ばかりの世界ではなく、
必然的な0と1でのみ構成される
最小限の世界こそが私の故郷。
此の世の『仮想世界』こそ
私が還るべき世界。
――呈示されたのは
1つのプログラムだった。
至ってシンプルなプログラム。
だけどそれは意志をもって増殖し、
無限の可能性を秘めていた。
――ああ、私は……
還れるかもしれない。
……私は知っている。
男は私を利用する気だ。
……男は知っている。
私が男を利用することを。
だから私は――
男の手をとった。
此の世は虚構(ゲーム)と成し
そして現実は反転するだろう。
此の世は所詮――
虚構の仮想世界なのだ。
あるべき運命の姿に戻される。
それでも人は――
ERRORと呼ぶのだろうか?