ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
第3日~電脳世界の薔薇~
├お姫様の心配
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目に鮮やかな――
オレンジが帰ってこない。
夕飯は、煌と桜ちゃんを交えた全員でとるつもりだったが、桜ちゃん1人だけが先に戻ってきた。
今日は玲くんと一緒に作ったぶり大根と、煌が大好きなハンバーグなのに。
オレンジ色のワンコの絵柄の、可愛い旗までつけてあげたのに。
――いいんですわ、あの馬鹿、頭を冷やした方が。
何か知っているのだろうか。
何だか怒っているような口調の桜ちゃん。
――大丈夫だよ、芹霞。煌だって男だ、自分で何とかするさ。
玲くんまでも何か知っているみたいだけれど。
判らないのはあたしと…何故か櫂。
頭のいい櫂まで、煌のおかれている状況が判っていない。
だけど多分…桜ちゃんと何かあったんだろう。
幾ら待てど、オレンジワンコは帰ってこない。
もしや神崎家に帰ったのではと家電をしてみる。
煌は携帯を爆発する非常識男だけれど、家電は平気だ。
全くわけがわからない奴だけれど。
しかし電話を取ったのは、緋狭姉で。
昨日からふらりとどこかに行ってしまったはずなのに、もうお帰りなのか。
――また今夜私は旅に出る。今は酒の補充だ。
電話の先で、緋狭姉が言った。
――今、いい気分なのだ、邪魔をするな。
補充というのは、体外に持ち歩くという意味ではなく…体内に入れるという意味なのか。
自由気儘な我が姉の、酒の魅力に完敗した可哀想な妹は、一方的に切られた電話を眺めて溜息をついた。
――また泊まればいいよ。その方が安心だし。
玲くんがにっこり笑い、櫂も頷くので、あたしはその有り難い申し出を受けることにした。
こんな真夜中、1人しかいない家に帰るのも寂しすぎる。
しかもこの家の客間はウォーターベッドで、8月間近な熱帯夜には気持ちがいい。
あたしはすぐ寝付いてしまった。
目に鮮やかな――
オレンジが帰ってこない。
夕飯は、煌と桜ちゃんを交えた全員でとるつもりだったが、桜ちゃん1人だけが先に戻ってきた。
今日は玲くんと一緒に作ったぶり大根と、煌が大好きなハンバーグなのに。
オレンジ色のワンコの絵柄の、可愛い旗までつけてあげたのに。
――いいんですわ、あの馬鹿、頭を冷やした方が。
何か知っているのだろうか。
何だか怒っているような口調の桜ちゃん。
――大丈夫だよ、芹霞。煌だって男だ、自分で何とかするさ。
玲くんまでも何か知っているみたいだけれど。
判らないのはあたしと…何故か櫂。
頭のいい櫂まで、煌のおかれている状況が判っていない。
だけど多分…桜ちゃんと何かあったんだろう。
幾ら待てど、オレンジワンコは帰ってこない。
もしや神崎家に帰ったのではと家電をしてみる。
煌は携帯を爆発する非常識男だけれど、家電は平気だ。
全くわけがわからない奴だけれど。
しかし電話を取ったのは、緋狭姉で。
昨日からふらりとどこかに行ってしまったはずなのに、もうお帰りなのか。
――また今夜私は旅に出る。今は酒の補充だ。
電話の先で、緋狭姉が言った。
――今、いい気分なのだ、邪魔をするな。
補充というのは、体外に持ち歩くという意味ではなく…体内に入れるという意味なのか。
自由気儘な我が姉の、酒の魅力に完敗した可哀想な妹は、一方的に切られた電話を眺めて溜息をついた。
――また泊まればいいよ。その方が安心だし。
玲くんがにっこり笑い、櫂も頷くので、あたしはその有り難い申し出を受けることにした。
こんな真夜中、1人しかいない家に帰るのも寂しすぎる。
しかもこの家の客間はウォーターベッドで、8月間近な熱帯夜には気持ちがいい。
あたしはすぐ寝付いてしまった。