ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
その時画面に、黄色い三角に吃驚マークの"警告マーク"が現れ、点滅をし始めた。
「随分と手が込んでいるな。迂闊に入り込んだらすぐ尻尾を捕まれそうだ。やっぱり、遠隔操作じゃ無理があるのかな。
……弥生ちゃん、USBの延長ケーブルってある?」
「USB…USB…。多分あれのことかな」
弥生ちゃんは走ってまた隣の部屋に行き、白いコードを持ってきた。
「ありがとう、これでOK」
僕はポケットから白い携帯を取り出し、接続準備をする。
「携帯の口とUSB口は合わないんじゃ?」
弥生ちゃんが不思議そうな顔をしている。
「僕のは大丈夫。改良してあるからね」
接続完了。
画面に接続した旨の小さいメッセージが現れる。
「どうするの?」
「ん……ゲーム利用者のフリして入り込んで、ちょっと脅しをかける」
「脅し?」
僕はまた、キーボードを叩く。
「そ。ご挨拶の置き土産をね。
……芹霞、3秒経ったら、ケーブル抜いて。
いい?
3,2,1……」
ケーブルが抜かれるのと、
パソコンが爆発音を立てるのがほぼ同時だった。
「弥生ちゃん、パソコンごめんね。後でパソコン、弁償するから。一応このパソコンのデータは全て僕のPCにコピーしてあるから安心して」
「は、はい……?」
弥生ちゃんは唖然としている。
「玲くん、置き土産って?」
「うん、ウイルス。そっちに手が回る隙に、セキュリティー……内部に侵入出来る歪みを見つけて、メモリに記録した。甘いよね、登録者の偽装データ見せたら、途端に警戒レベル下げるなんてさ」
そう僕が笑った時、僕のデジタル時計が3時を告げる、短い音を鳴らした。
「そういえば――…
3時から何か始まるんだっけ?」
時計を見つめながら、僕は言った。