ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「考えられる脳味噌もないくせに、
ぐだぐだぐだぐだ…
考えすぎなんだよ、てめえはッ!!」
桜は更に声を荒げた。
「行くか戻るかだけじゃなく、
迂回路っていうもんもあるだろうがッ!!!」
すまん、それがよく判らねえ。
桜は、濁点のついた大きな叫び声を上げ、悶えた。
「体が痒くなってくんだよ、てめえの反応はッ!!!
身体ばかり無駄に成長させて、思考は3歳児か!!?
3歳児の方がまだマシだ!!!
ああ、もう!!!
早く行けって言ってんだろ、てめえッ!!!」
桜は、俺の鳩尾に拳を入れた。
……容赦ねえ。
「い、行っていいのかよ?」
またもやよろけながら、一応訊いてみる。
ドガッッドガッッ
更には蹴りを加えた連携技(コンビネーション)炸裂。
「てめえが此処にいて何か役立てるかッ!?
てめえが玲様を手伝えるかッ!!??
てめえなんて、足手纏いなんだよッ!!!
体力馬鹿なら体力馬鹿らしく、今てめえが出来る最善を尽くしやがれッ!! 何度も言わせるな、早く行けッッッ!!!」
首に…回し蹴りまで追加。
くらり、とする。
絶対、こいつは俺を殺す気だ。
激しい殺気を放ってるくせに、だけどその力は半分以下で。
「お前……少しだけ
――いい奴だよな。
…さんきゅ」
思わず顔を綻ばせた。
「ぐがあああああ!!!
気色悪いッッッッ!!!!」
走り際――
桜の癇癪玉が爆発するのが聞こえた。
ひでえや…。