ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
 


「どう……して……?」



思わず俺から漏れた、声にもならない掠れた声。

それは恐怖でもあり詰りでもあり。



「もし玲くんに何かあったら、

あたしは一生煌を許さないッッ!!!!」




ずきっ。



胸が痛くて仕方がない。

息が詰まる。



「役目か何か知らないけれど、大切な人の命を切り捨てる奴なんて、最低ッッッッ!!!」



芹霞……



だから俺、今此処に居るだろ?


そんな目で俺をみないでくれよ。




俺の叫びは――

言葉にならずに。



「煌だったら絶対助けに来てくれる。絶対、玲くんだけでも助けてくれる。無条件ですぐ駆けつけてくれる……そう信じ込んでいたあたしは馬鹿みたいッ!!!」



芹霞の両目から涙が零れ落ちた。




違う、誤解だから。



声が出ない。



俺は――



「そんなにあたしが嫌いなの!?」



お前のことが――



「仲間である玲くんを助けに来れないくらい、そんなにあたしのことが嫌いになったの!?」



こんなにも好きなのに――。



声が…言葉が…でないんだ。




「……煌」


芹霞の低い声がする。




「お望み通り……

幼馴染みは――解消よ」






 
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