ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
└お姫様の家出
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何とか櫂の家に戻ったあたしは、慌てる桜ちゃんに手伝って貰い、まず先に玲くんを寝かした。
「芹霞さん、煌は!!!?」
あたしは…返事をしなかった。
玲くんの部屋は一番奥にあり、玲くんの足も覚束ないので、玄関に一番近い、あたしが借りている客室に運んだ。
桜ちゃんが、血の染み付いた服を脱がして、温かなタオルで身体を拭く。
桜ちゃんの機転のよさは、玲くん並みだ。
「これは…!!?」
心臓の位置に貼り付けられた"異物"。
「それは貼っておいてくれる?」
桜ちゃんは神妙な顔をして頷いた。
殆どが返り血で、怪我はないのは安心する。
玲くんの呼吸は、一時に比べれば安定してきている。
それもきっと…
――ぎゃははははは。
あいつのおかげ。
認めたくはないけれど、これが現実。
「私、櫂様の様子を見てきます」
桜ちゃんが出て行った物音に気づいたのか、玲くんは薄く目を開けた。
焦点の定まらないような鳶色の瞳は、潤んでいて。
「弱くてごめん……」
本当に辛そうに顔を歪めた玲くん。
「違うよ、玲くんはちゃんとあたし達を守ってくれた」
そうベッドの傍らではっきりと言えば、玲くんは切なげに笑うんだ。
儚げで、消えてしまいそうな玲くんは…多分、自分を責めている。
何とか櫂の家に戻ったあたしは、慌てる桜ちゃんに手伝って貰い、まず先に玲くんを寝かした。
「芹霞さん、煌は!!!?」
あたしは…返事をしなかった。
玲くんの部屋は一番奥にあり、玲くんの足も覚束ないので、玄関に一番近い、あたしが借りている客室に運んだ。
桜ちゃんが、血の染み付いた服を脱がして、温かなタオルで身体を拭く。
桜ちゃんの機転のよさは、玲くん並みだ。
「これは…!!?」
心臓の位置に貼り付けられた"異物"。
「それは貼っておいてくれる?」
桜ちゃんは神妙な顔をして頷いた。
殆どが返り血で、怪我はないのは安心する。
玲くんの呼吸は、一時に比べれば安定してきている。
それもきっと…
――ぎゃははははは。
あいつのおかげ。
認めたくはないけれど、これが現実。
「私、櫂様の様子を見てきます」
桜ちゃんが出て行った物音に気づいたのか、玲くんは薄く目を開けた。
焦点の定まらないような鳶色の瞳は、潤んでいて。
「弱くてごめん……」
本当に辛そうに顔を歪めた玲くん。
「違うよ、玲くんはちゃんとあたし達を守ってくれた」
そうベッドの傍らではっきりと言えば、玲くんは切なげに笑うんだ。
儚げで、消えてしまいそうな玲くんは…多分、自分を責めている。