ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
或る心象風景 Ⅳ
――運命って何?
以前、彼女に訊かれた。
彼女はまだ幼くて
難しいことを理解出来ぬから
"永遠の約束"だと教えた。
――あたしの運命は?
自分の大事な者が苦しまないよう
全てを犠牲にしても彼らを救済すること。
すると彼女は深く考え込み
力強く頷いた。
私は狡い。
彼女の一途な強さに
私は勝手な未来を託し
己の弱さを隠蔽した。
私が作り出した
拗れた運命のERRORの修復を
彼女1人に押しつけた。
私の浅慮が――
彼女に闇を背負わせた。
それでも私は言い続ける。
闇に墜ちるな、
光に生きろ――と。
それは私の願い。
見守ることが
私の運命――