ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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部屋が部屋として機能を始めたのは、それから4時間後の朝7時だった。


最後のゴミ袋の山を、一番近いゴミ収集所に運び終わった道化師が帰ってきて、ようやく長い戦いが終わった。


ふぅ~達成感。


「何であんたが不貞腐れるのよ。あたし眠いの凄く我慢して、あんたの部屋を片付けてあげたじゃない」


金髪男はぷいと顔を横に背けた。

どうも彼は、あたしに言い様に働かせられたのがお気に召さないらしい。



――バケツに水だ!?

――嫌なら、雑巾がけでもいいけど?



――ゴミ捨てに行けだと!?

――じゃああたし行く? いいの、あたしを1人外に出して。



片付けをしない奴は"子供"だ。


子供だと思えば怖くなくなった。


子供相手にあたしは遠慮しない。

どんな凄まれてもあたしは動じない。


あたしは櫂を守る為、悪ガキ相手に修羅場を切り抜けた女だし、何より昔の荒んだワンコの相手をしてきて、扱いには十分慣れている。


あたしの経験値をなめるな。


――さっさと行けッッ!!!


その背中を蹴り飛ばし、相手以上の大声で命令すると、その形相に怯んだのか、男は頬肉をひきつらせて、渋々従った。


てきぱきと片付けをして4時間もかかったのは、30袋をゆうに超す…予想以上に多いゴミの量だったのと、不機嫌極まりない男があたしの前に積んだからだ。


"あいつら"の黒い骸を。


――あたしを、殺す気かあああ!!!


当然、その頭をぶん殴り、片付けさせた。


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