ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├お姫様の嘆き
**************
漆黒の…闇の中を、あたしは彷徨していた。
あたしを象る輪郭すら、無に還す…深い深い闇。
何も見えない。
何も聞こえない。
進んでいるのか、退いているのか。
本当に"あたし"は、存在しているのか。
何1つ、あたしには判らない。
全てが不明瞭で、不確かで。
冷たい闇に融合されていきそうで…
あたしという存在がなくなってしまいそうで…
怖くてたまらず、光ある出口を求めて、ひたすら流離(さすら)っていた。
その時、一筋の風を感じたように思う。
何処からか…
微かな声が漏れ聞こえた。
――早く……さいッ!!!
何を言ってるのか。
――…… に、助けを!!!
あたしには、よく聞こえない。
誰かが叫んでいるようだ。
必死に―――。
頬に何かか当たる。
これは――
――ああ、……のせいだ。
涙――?
――芹霞ちゃああん!
どうして、櫂が泣いているのだろう?
何処に櫂が居るのだろう?
あたし口から出るのは闇ばかりで、言葉にならず。
何も判らない。
ああ。
闇の色が変わる。
漆黒から――
鮮やかな真紅色へと。
漆黒の…闇の中を、あたしは彷徨していた。
あたしを象る輪郭すら、無に還す…深い深い闇。
何も見えない。
何も聞こえない。
進んでいるのか、退いているのか。
本当に"あたし"は、存在しているのか。
何1つ、あたしには判らない。
全てが不明瞭で、不確かで。
冷たい闇に融合されていきそうで…
あたしという存在がなくなってしまいそうで…
怖くてたまらず、光ある出口を求めて、ひたすら流離(さすら)っていた。
その時、一筋の風を感じたように思う。
何処からか…
微かな声が漏れ聞こえた。
――早く……さいッ!!!
何を言ってるのか。
――…… に、助けを!!!
あたしには、よく聞こえない。
誰かが叫んでいるようだ。
必死に―――。
頬に何かか当たる。
これは――
――ああ、……のせいだ。
涙――?
――芹霞ちゃああん!
どうして、櫂が泣いているのだろう?
何処に櫂が居るのだろう?
あたし口から出るのは闇ばかりで、言葉にならず。
何も判らない。
ああ。
闇の色が変わる。
漆黒から――
鮮やかな真紅色へと。