ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├王子様の熟考
櫂Side
***************
電話の呼び出し音。
低められた話し声。
俺の朦朧とした意識は…現実に還る。
酷く身体が重い。
まるで鉛のようだ。
頭がぼんやりとして、思考できない。
「………」
朝……か?
夢を見ていたのか…?
酷い…悪夢だった気がする。
ドンナアクム?
「……俺は…」
――桜、麻酔を持ってこいッッ!!!
――櫂、芹霞は煌に任せるんだッッ!!!
それは突然に起きた――
「!!!!」
記憶の蘇生(フラッショバック)。
まるで、閃光のように。
割れた窓。
ひび割れた壁。
そして――
赤く腫れた俺の拳。
胸には…薄れたはずの、鈍痛が骨まで響く。
俺はベッドから飛び起き、居間に向かう。
丁度、電話を終えた玲がこちらを向いた。
「おはよう」
にっこりと微笑んだんだ。
「芹霞は!!!?
芹霞は戻って来てるのか!!?」
「大丈夫だ、煌が向かっているから」
「向かっているって…まだなのか!!!? 10時だぞ!!!?」
俺は柱時計を指をさして怒鳴った。
玲の…爽やかさが苛ついてくる。
どうしてこいつ、余裕なんだ?
どうして、いつも通りなんだ?
――ぎゃはははは。
あの男、芹霞を気に入ってるんだろ!?
もし芹霞が――。
芹霞が!!!!
「櫂、煌を信じられないのか?」
玲の声が低く鎮められた。
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電話の呼び出し音。
低められた話し声。
俺の朦朧とした意識は…現実に還る。
酷く身体が重い。
まるで鉛のようだ。
頭がぼんやりとして、思考できない。
「………」
朝……か?
夢を見ていたのか…?
酷い…悪夢だった気がする。
ドンナアクム?
「……俺は…」
――桜、麻酔を持ってこいッッ!!!
――櫂、芹霞は煌に任せるんだッッ!!!
それは突然に起きた――
「!!!!」
記憶の蘇生(フラッショバック)。
まるで、閃光のように。
割れた窓。
ひび割れた壁。
そして――
赤く腫れた俺の拳。
胸には…薄れたはずの、鈍痛が骨まで響く。
俺はベッドから飛び起き、居間に向かう。
丁度、電話を終えた玲がこちらを向いた。
「おはよう」
にっこりと微笑んだんだ。
「芹霞は!!!?
芹霞は戻って来てるのか!!?」
「大丈夫だ、煌が向かっているから」
「向かっているって…まだなのか!!!? 10時だぞ!!!?」
俺は柱時計を指をさして怒鳴った。
玲の…爽やかさが苛ついてくる。
どうしてこいつ、余裕なんだ?
どうして、いつも通りなんだ?
――ぎゃはははは。
あの男、芹霞を気に入ってるんだろ!?
もし芹霞が――。
芹霞が!!!!
「櫂、煌を信じられないのか?」
玲の声が低く鎮められた。