ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


求められる緋影の体。

蘇る8年前の"生ける屍"。



『そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり』


「ねえ櫂。藤姫が死んだ直後の"今"のタイミングで、"生ける屍"を創り出す黒の書や、"死"に耐性を持つ緋影が騒がれているのなら。

まさか、さ。元老院は死んだ藤姫を……」



強張った顔の玲の顔。

さすが血の成せる業か、玲の思考は…俺と同じ領域に到達し始めている。


「可能性は高いな。

死んだ藤姫を生かす…

いや、"蘇らせる"為だと」



『そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり』


  
ああ…そういうことか。
 


俺の思考の起点が違っていたんだ。


ERRORから始まった思考は、

所詮はERRORにしかならない。


緋狭さんは、それを正しに来たのか。


「だけど! 元々8年前のあの研究は元老院が指示したものだ。その研究を藤姫と紅皇の存在が潰してしまった。邪魔者をまた蘇生させようとするなんて」




「邪魔者でなかったとしたら?」

「え?」




玲は驚いた顔を見せる。



「俺達は案外…

噂に振り回されているだけかも知れないぞ、玲」



くつくつとした嗤いが込み上げてきた。



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