ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├電脳オタクの微笑
玲Side
****************
「俺達は案外…
噂に振り回されているだけかも知れないぞ、玲」
時々、僕は櫂が怖くなる。
超然と笑う様は何かに思い至った証。
僕にとって、漠然として浮かんだ選択肢の1つを、何の確証を持って正しいと言い切れるのだろうか。
もしその選択肢が真実だというのなら、笑い話には出来ない深刻な問題だ。
「なあ玲。ゲームの話に戻すが、ただゲームをするだけで血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)になるのなら、芹霞は何故血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)にならない?」
突然櫂は話を変えた。
「紫堂の研究所の検証結果で、お前は"ある一定の条件下で"と言った。それは何だ? "ゲームをする"だけじゃないんだろう?」
切れ長の目が僕を捕らえる。
「紫堂の研究所は、どんな条件で、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)化させて見せた?」
僕は答えた。
「まず…僕は2つのゲームプログラムを渡したんだ。
1つは、弥生ちゃんの持つそのものと、もう1つは…ゲーム進度を無視して、ゲームの進行度だけをMAXにさせて書き換えたもの。具体的に言えば…恋愛SLG部分を飛ばして格闘モードに入り、そして何もしなくても『勝利』のデータだけをメインサーバに返し、"経験値"なるものを上げたんだ。
面倒だけれど、その方が確実だ。呪詛を収めたプログラムなら、勝利データ記録がないのに"経験値"だけがあがることに対して、何らかの"不正"対策がとられているだろうし、そんなの相手にして、下手に勘繰られても嫌だったしね」
不正痕跡が残らぬよう気は使ったものの、改造事実には変わらない。
よく市販のRPGゲームにおいて、全ての数値を裏からMAXにする改造プログラムコードなどがあるが、簡単にいえば同じようなもの。
ゲームというものを純粋に楽しむ者にとってみれば邪道のものだ。
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「俺達は案外…
噂に振り回されているだけかも知れないぞ、玲」
時々、僕は櫂が怖くなる。
超然と笑う様は何かに思い至った証。
僕にとって、漠然として浮かんだ選択肢の1つを、何の確証を持って正しいと言い切れるのだろうか。
もしその選択肢が真実だというのなら、笑い話には出来ない深刻な問題だ。
「なあ玲。ゲームの話に戻すが、ただゲームをするだけで血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)になるのなら、芹霞は何故血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)にならない?」
突然櫂は話を変えた。
「紫堂の研究所の検証結果で、お前は"ある一定の条件下で"と言った。それは何だ? "ゲームをする"だけじゃないんだろう?」
切れ長の目が僕を捕らえる。
「紫堂の研究所は、どんな条件で、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)化させて見せた?」
僕は答えた。
「まず…僕は2つのゲームプログラムを渡したんだ。
1つは、弥生ちゃんの持つそのものと、もう1つは…ゲーム進度を無視して、ゲームの進行度だけをMAXにさせて書き換えたもの。具体的に言えば…恋愛SLG部分を飛ばして格闘モードに入り、そして何もしなくても『勝利』のデータだけをメインサーバに返し、"経験値"なるものを上げたんだ。
面倒だけれど、その方が確実だ。呪詛を収めたプログラムなら、勝利データ記録がないのに"経験値"だけがあがることに対して、何らかの"不正"対策がとられているだろうし、そんなの相手にして、下手に勘繰られても嫌だったしね」
不正痕跡が残らぬよう気は使ったものの、改造事実には変わらない。
よく市販のRPGゲームにおいて、全ての数値を裏からMAXにする改造プログラムコードなどがあるが、簡単にいえば同じようなもの。
ゲームというものを純粋に楽しむ者にとってみれば邪道のものだ。