ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
ただ判らないのは呪詛の矛先。
僕が見れる範囲のメインサーバプログラムの断片からは、特定されたものは見付からなかった。
無差別……とも言い切れない。
確かにあのプログラムには一定の意思が見える。
血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を目にしていない櫂も呪詛にやられたとならば、どこからどこまでがゲームによる呪詛なのか。
大体――
「ゲームの攻略キャラに、どうして櫂を含めた5人が選ばれたのか判らない。
今、桜に調べさせているけれど、もしかしたらそこから、プログラムの向こう側で垣間見える"意思"に繋がるかもしれない」
「黒幕が道化師の可能性は?」
切れ長の瞳が僕を映す。
「低いね。彼は血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を狩っている。ただ無関係でもない。なぜなら、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の処に出没できるからね。出現場所を特定し、すぐ狩る準備が整っていて、だけど第三者だというには無理がありすぎる」
彼はゲームの黒幕を知っているのだろうか。
「櫂。血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)は恐らくゲーム……メインサーバにも連動している。サーバからの指示がタイミング良すぎるんだ、何もかも。現在の状況取得は、GPS機能だけに頼っているとは言い切れない。もしかすると……」
僕は切れ長の瞳を見つめる。
「僕のように、コードを書き換える力を持つ人間がいるのかも知れない」
これは予感。