ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
画面には、東京手の山手線沿線図が表示される。
「まず、櫂の学校は渋谷。結城隼人は品川。阿賀光彦は池袋。路方陸人は千駄木、伊澤琢磨は神田」
手元のタブレットで画面の路線図の地名に赤丸をつけた玲様は、最後に丸同士を結ぶ直線を引いた。
「ドーマンセーマン――
魔力を秘めた五芒星だ。
中心に位置するのは政府の中枢たる永田町や――元老院の居る四谷だ。
つまりは」
――東京が揺らぐよ、あはははは。
「東京の破壊、か」
私は息を飲んだ。
「蠱毒という呪詛の対象が東京というものだとすると、五芒星の頂点のうち4つが蠱毒に滅んだことになる。
だとすれば、櫂。
渋谷を背負うお前が滅ぶことによって、東京にかけられた呪詛は完成する」
鳶色の瞳の色は厳しいものだった。
「……上等だ」
櫂様は不敵に笑った。
「俺を甘く見たことを後悔させてやる」
揺るぎない自信。
迸る威圧感。
為政者の迫力に飲み込まれそうになり、私は思わず目眩を抑えた。
その時だった。
『……あー、あー』
雑音と共に、おかしな声が部屋に響いたのは。