ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
 

 
『いやあのね、突然蒼生がね』



「蒼生!? 『氷皇』だろッ!!?」



ああ、それは玲様も。


此の場で、呼び方などどうでもいいと思うのは、私だけなのだろうか。


『あ、そう。その氷皇がね、会長と……あ、ねえ、煌。何か音聞こえてこない?』



また、1人追加だ。


氷皇――瀬良蒼生と

会長――御階堂充?


道化師と繋がっていたのか?


だけどそれなら、何故芹霞さんは、3人で帰ると言っていたのだろうか。




「芹霞」




櫂様が叫んだ。





「必ず戻れよ



――俺の処へ」





泣きそうなくらいの切ない声。


行きたいのだろう。

駆けつけたいのだろう。



櫂様は必死に我慢している。




『……うん』




「俺も呪詛を何とかしたら迎えに行く。

だから――煌と頑張れよ」



『判った。約束ね、櫂』




「ああ」





『……え、なに煌……。……あー、櫂?』



芹霞さんの声から馬鹿蜜柑の声に変わった。

どうも芹霞さんから無線機を奪い取ったらしい。


………。


また妬いたのか、あの馬鹿は。
< 348 / 974 >

この作品をシェア

pagetop