ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├飼い犬の威嚇
煌Side
*******************
御階堂充――。
酷く、蔑んだ目だ。
俺達を上から見下ろすその顔は、嫌悪感に歪んでいる。
元から蔑んで見る男だが、更に輪をかけているのは…嫌悪以上の激しい情が湧きあがっているからだろう。
嫉妬。
「逃げるどころか、いちゃついているとはな」
嫉妬の対象に俺が選ばれて、現実、"いちゃついて"いるのであれば、嬉しいけれど。
幼馴染みという関係に戻れたのは心底嬉しいが、それはそれで大変だ。
俺の理性との闘いを打ち破るかのように、煽るだけ煽って、自分はそれを何とも思っていない。
完全無意識。
天然女って怖え。
「いちゃ……ッて、どこをどう見たらそう見えるのよッ!? 違うでしょッ!!!」
俺の足の間を分け入るようにして、警戒心無くすっぽりと収まる芹霞。
香水女相手なら簡単に組み敷いていたものを、芹霞が相手だと思えば、厭に心臓がどくどくして喉が渇くだけで、何一つ動けねえ。
――ぎゅう、好きだよ?
やけに芹霞の白肌が眩しくて。
やけに芹霞が甘く匂って。
やけに芹霞の声に息苦しくなって。
直に感じる芹霞の熱さに、その肌の柔らかさに、くらくらくらくら目眩をおこし、俺だけの痕跡残して壊してしまいたい衝動が走った。
一気に限界ぎりぎり。
これ以上時間が経てば絶対理性が崩壊する気がして、必死に頭で緋狭姉思い浮かべて、鬩ぐ心抑えるのに精一杯で。
――どこをどう見たらそう見えるのよッ!?
そんな俺に、そこまで否定するか?
忍耐力ねえ俺が、必死に耐えているんだ。
少しは俺を気遣えよ。
ああ…。
櫂に同情していた自分が滑稽だ。
まさか、俺までそんな被害に遭うとは。
櫂…。
お前本当に辛かったな。
よく12年も、我慢してられてるよ。
やっぱりお前は凄え奴だ。
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御階堂充――。
酷く、蔑んだ目だ。
俺達を上から見下ろすその顔は、嫌悪感に歪んでいる。
元から蔑んで見る男だが、更に輪をかけているのは…嫌悪以上の激しい情が湧きあがっているからだろう。
嫉妬。
「逃げるどころか、いちゃついているとはな」
嫉妬の対象に俺が選ばれて、現実、"いちゃついて"いるのであれば、嬉しいけれど。
幼馴染みという関係に戻れたのは心底嬉しいが、それはそれで大変だ。
俺の理性との闘いを打ち破るかのように、煽るだけ煽って、自分はそれを何とも思っていない。
完全無意識。
天然女って怖え。
「いちゃ……ッて、どこをどう見たらそう見えるのよッ!? 違うでしょッ!!!」
俺の足の間を分け入るようにして、警戒心無くすっぽりと収まる芹霞。
香水女相手なら簡単に組み敷いていたものを、芹霞が相手だと思えば、厭に心臓がどくどくして喉が渇くだけで、何一つ動けねえ。
――ぎゅう、好きだよ?
やけに芹霞の白肌が眩しくて。
やけに芹霞が甘く匂って。
やけに芹霞の声に息苦しくなって。
直に感じる芹霞の熱さに、その肌の柔らかさに、くらくらくらくら目眩をおこし、俺だけの痕跡残して壊してしまいたい衝動が走った。
一気に限界ぎりぎり。
これ以上時間が経てば絶対理性が崩壊する気がして、必死に頭で緋狭姉思い浮かべて、鬩ぐ心抑えるのに精一杯で。
――どこをどう見たらそう見えるのよッ!?
そんな俺に、そこまで否定するか?
忍耐力ねえ俺が、必死に耐えているんだ。
少しは俺を気遣えよ。
ああ…。
櫂に同情していた自分が滑稽だ。
まさか、俺までそんな被害に遭うとは。
櫂…。
お前本当に辛かったな。
よく12年も、我慢してられてるよ。
やっぱりお前は凄え奴だ。