ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「そしたら今度はさー」
「………」
「こじ開けた処から侵入試みるから、防衛プログラムっていうので撃退しようとしたんだけど、その解析が早いんだッッ!!! しかもこっちの追跡や攻撃を凄い早さで振り切ろうとするし」
「………」
「でもさー、ボクだってゲームの神がついているから頑張ってたんだけどさー、今度はそいつ、何処から手に入れたか、ボクが以前使っていたゲームのβ版から、サーバに侵入試みてさー、想定外からの侵入だったから、第1防衛プログラムやられちゃってー、いわゆるバグにつけ込まれてさー」
「………」
「そいつさー、ボクの攻撃に応じてプログラム形態変えるんだけどね、早いんだよ。ボクより早いなんて、ありえないよ。しかも何だよ、あの計算量。ボクのコンピュータを先回りしてさ、」
「………」
「絶対、ただの電脳オタクじゃないと思うんだッッ!!!」
「………」
「神崎~、返事してよ~、ボク一人でしゃべってるのって、寂しいじゃないか~」
明らかに――
芹霞の顔がひきつっている。
遠坂に身体を揺すられながら、芹霞は躊躇いがちに俺と目を合わせた。
芹霞の唇が、無声音で動く。
れ、い、く、ん
俺は顔を顰めて芹霞を見る。
こ、の、こ、の、あ、い、て
つまりは――
あの玲とやりあっているというのか、このネコ娘。
はああああ!!?
玲、お前…何をしてるんだ!!!?