ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
前夜 ~喧騒の薔薇~
├お姫様の沈黙
*************
ふわふわと意識が浮いている。
ゆらゆらと映像が揺れている。
見えるのに理解できない。
聞こえるのに理解できない。
ただの傍観者の如く――
まるであたしの魂が、あたしの肉体に定着していないように。
それが…当然の理のように。
――芹霞ちゃあああん!!
どうして櫂の泣き声がするのだろう。
ああ、櫂を泣かせたくないのに。
――芹霞ちゃあああん!!
泣かないで。
泣かないで。
どんなに抱きしめたくても、
闇の中では可愛い姿が見えないの。
――芹霞。
ねえ櫂。
貴方は昔程、あたしを好きでいてくれている?
聞きたくて、聞けない言葉。
だって判っているものね。
櫂にとって一番は…紫堂なのだから。
きっと櫂は、言葉を濁すでしょう?
櫂は昔のように、あたしを好きだって言ってくれなくなったから。
判っている。
大好きだって言って欲しいのは、
あたしの我侭なんだってこと。
ごめんね。
ごめんね、櫂。
あたしはやっぱり、櫂を手放せないんだ。
あたし、やっぱり櫂を護りたいんだ。
ふわふわと意識が浮いている。
ゆらゆらと映像が揺れている。
見えるのに理解できない。
聞こえるのに理解できない。
ただの傍観者の如く――
まるであたしの魂が、あたしの肉体に定着していないように。
それが…当然の理のように。
――芹霞ちゃあああん!!
どうして櫂の泣き声がするのだろう。
ああ、櫂を泣かせたくないのに。
――芹霞ちゃあああん!!
泣かないで。
泣かないで。
どんなに抱きしめたくても、
闇の中では可愛い姿が見えないの。
――芹霞。
ねえ櫂。
貴方は昔程、あたしを好きでいてくれている?
聞きたくて、聞けない言葉。
だって判っているものね。
櫂にとって一番は…紫堂なのだから。
きっと櫂は、言葉を濁すでしょう?
櫂は昔のように、あたしを好きだって言ってくれなくなったから。
判っている。
大好きだって言って欲しいのは、
あたしの我侭なんだってこと。
ごめんね。
ごめんね、櫂。
あたしはやっぱり、櫂を手放せないんだ。
あたし、やっぱり櫂を護りたいんだ。