ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「俺など…"男"…じゃねえって?」


道化師が羞悪の眼差しを向ける。


「あんな程度は…揺るがないってか」


その顔は苦しげに歪まれる。


"あんな程度"。


それは恐らく、芹霞に咲いた華。


「何処まで…

俺を虚仮にすれば気が済むんだ!!!?」


荒げた声。


道化師は煌を見上げた。


「お前は判るだろう、BR002。

紫堂に受けた屈辱を。


かつての――

制裁者(アリス)たるお前は」




煌から…

すっと表情が消え失せた。

 
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