ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「玲。芹霞は何処に関係すると思う?」
櫂が真摯な顔をして訊いてきた。
「え?」
「緋狭さんと氷皇の賭けは、御子神祭開催直前。わざわざそう区切ったのは、祭りに芹霞が関係するのだと言いたかったんじゃないか?」
「………」
「御階堂が血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)だの呪詛だのに暗躍していたのだとしたら、あれだけの仕掛けが簡単に終わるのだとは信じられん。まだ何か、手札を隠し持っている」
「………」
「陽斗の言う"あいつ"……。
俺は、恐らく"彼女"だと思っている」
僕は薄く笑った。
「奇遇だね、櫂。
僕も同じことを考えていたよ」
血の成せる業なのだろうか。
「やはり、か。
そして"彼女"は……」
僕は苦笑した。
「氷皇の真の雇い主。
……恐らく、だけどね」
櫂が溜息をついて頷いたその時――。
ドアの外で、騒がしい声がしたんだ。
僕達は、訝った目をそちらに向けた。
どうしたんだ?