ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「!!!?」
再度"その形"に、口をぱくぱくすると、僕の膝に頭を乗せて小さく身体を丸め…そして、
「………」
すうすうと寝息をたてて…眠ってしまったんだ。
場は…しんと静まり返っている。
「今、玲のこと――…
"おかあさん"って呼んだよな?」
煌がぼそりと呟いた。
「確かにな」
腕を組みながら、不機嫌そうに僕を見下ろす切れ長の目。
「………」
金色の瞳は、僕をじっと睨み付けていて。
桜はまだ放心状態だし。
「って、桜どうした?」
桜がこんな姿を晒すなど、普通では絶対ありえないことで。
「放っておけよ。
あいつもやられたんだ」
煌が溜息まじりに、苦々しい笑いを見せた。
「?」
「芹霞に"初ちゅう"奪われたんだ。ほっぺだけど。刺激、強すぎたみたいで。
あいつ、意外と"純粋(ピュア)"だったんだな」
それはそれは――。
「………」
僕は桜を見ながら――
笑いを堪えた。
僕の膝には…可愛い芹霞。
"お母さん"
ああ本当に…
いい加減、自覚してよね?
僕は――
男なんだよ?