ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「はあ!?お前さっき"元老院"だって言っただろ!? 篠山亜利栖は元老院なんかじゃねえ。そうだよなッッ、櫂、玲!!?」
振り返った煌。
俺が言葉を紡ぐよりも早く、玲が口を開いた。
「煌。篠山亜利栖は元老院じゃないよ」
「だろッツ!!?」
「だけど――
"藤姫"は元老院だ。
――そういうことだね、陽斗?」
陽斗は肯定するように薄く笑った。
「ああ~ッッ!! 俺さっぱり判らねえ!! 櫂……判ってるんだな、桜は……その顔は理解出来たのか!?
じゃあ芹霞お前は…『さっぱりわからん』? そうだよな~。つーか、お前と同じレベルかよ、俺」
憤った芹霞が、煌にテーブルの雑誌を投げつけた。
「つまり――」
俺は煌に補足を加えてやる。
「藤姫は篠山亜利栖、
ということだ」