ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



画面は外部にアクセスしているようだ。


あたしはごくりと唾を飲み込み、

ドキドキする鼓動を必死に鎮めている。


何が…出て来るんだろう?

あんな状態であたしに託すんだ、余程凄いものに違いない。


機密情報…とか?


あたしは煌の影響で、スパイもの映画が大好き。


好奇心と興奮と…ちびっとだけ恐れ。



「芹霞、パスワード聞かれてるんだけど?」

「えええ!!? 知らないよそんなもの…」


「ああ、やっぱり適当は駄目ね、弾かれる。どうする?」


――"パスワード"


どくんっ。


心臓が記憶に跳ねる。



――"アリス"



「弥生、"アリス"って入れてみて」



駄目元だ。



「OK。英字入力みたいだから、英語で入れるわよ、A、L、I、C、E……。……。わ、認証されました、だって」


やった!!!


凄い、あたしだって考えれば出来る子だ。


しかし、そこからが問題だ。



一体何が出てくるのか。

何をあたしに託したのか。



そして――




画面は切り替わる。
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