ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「……仕方ないよね、陽斗?」
「何故俺に聞くッ!!」
「いや、まあなんとなく。眼が合ったから」
「……何だよ、それ」
陽斗は嫌そうに顔を歪めさせた。
それでも答えてくれるのが陽斗だ。
「いいんじゃね? しつこい奴にははっきり言った方が。その方が俺も安心だし……だけど俺だったら気が狂いそうだ」
後半の言葉はごにょごにょしてあたしは聞き取れなかった。
「え?」
「聞き返すなッッ!!」
「あはははははは~」
陽斗の怒声に蒼生の笑い声が重なった。
「若いっていいねえ。しかも結構いい雰囲気になってない? 芹霞チャンと陽チャン。
……さあ、どうする?
気高き獅子…――?」