ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「芹霞ちゃんよー」


陽斗はあたしの頭を撫でながら言う。


「今のこれはただの"生ける屍"。

紫堂に呪詛放つ血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)じゃねえ」


「え?」


違うものなの?


「血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)は少女だったろ?

ここには老若男女混在してる。

仲間を増やすのが…今の目的だ」


「!!」

 
「紫堂櫂が倒れないとなれば、計画は段階(ステージ)2となる。つまり東京にかけられた五芒星の終着である中心地から逆流させるはずだ。どでかい力を逆流させて、最後の五芒星の頂点を破壊にかかる」


「なッ!!!」


「時間の問題だ。やがてこいつら"生ける屍"は中心地たる赤坂へ向かうだろう。そこで"アレ"がなされれば正直ヤバイ」


陽斗が固い顔をした時、


「!!!!」


あたしの携帯が鳴り響いた。


あみんの"待つわ"。

これは玲くんからだ。


"待つわ"は玲くんの選曲。

何故これにしたかは判らないけど、この曲は好きだから別に構わない。


通話ボタンを押すと玲くんの声がした。


『あ、もしもし芹霞!!?』


玲くんの声にほっとした。

玲くんの声音はいつも温かい。


よかった、まだ無事だ。


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