ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
何が"気高い"?
獅子たる俺の心は貪欲だ。
何処までも何処までも。
俺は…貪欲だ。
そして以来――。
俺は…必要以上に芹霞に触れた。
誰に見せつけたいわけではなく、ただ俺自身の気の昂ぶりだ。
ただの…自己満足。
暴れる俺の中の"獅子"を、
宥(なだ)めすかす為の。
そして、誓い。
芹霞の横に立つのは、
永遠に――俺だ。
他は許さない。
俺――
お前の前で言い続けてきたよな、煌。
芹霞が好きだと。
芹霞は俺のものだと。
そして俺は……
芹霞の隣に立つ権利を主張してきたはずだ。
お前だって判っていたろう?
何で――今更?
ああ…。
酷く――
――…心が痛いんだ。
罪悪感のように痛むんだ。
多分それは――
俺を睨む煌の目のせいで。
嫉妬。
憎悪。
そのどす黒い感情を、俺は知っているから。
誰の前だろうと、芹霞を抱き潰したい……そんな想いが判るから。
……お前、そこまで芹霞が欲しいのかよ。
そこまで…惚れ込んでしまったのかよ。