ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


――お前もいい加減にしろ。



玲……。


判っているさ。


ここで仲違いする訳にはいかない。



――皆、どうした?



煌が抑えきれないのが、

嫉妬のせいだとしたら。


突然に元に戻ったような

今の具合は何のせいだろうか。



妙だ。


気狂いとも違う。



それでも俺は。


煌が普段通りに、

朗らかな顔で語りかけてくれるのに安堵して。


俺は煌と争いたい訳じゃないから。


ただ"その時"を…引き伸ばしているだけなのだけれど。



煌とも――

本気で争う日が来る。




そして――


――だから! 友達以上じゃないかってこと!!



玲もまた――


――芹霞を護るのは…僕だ。



芹霞を渇望した。



俺の…前で。




今更――

何なんだよ、2人共。


だけど、判っている。


お前達を苦しませているのは俺。


俺が芹霞を欲しいという気持ちは、

確実に手に入れる未来を信じる俺は、


お前達の犠牲の上で成り立つものだということは。

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