ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
胸が切ない悲鳴を上げた。
吐き出しきれないこのもどかしい心情は。
"待つ"身故のやりきれなさ。
判って欲しい。
どんな想いで待ち続けているのか。
もう…12年。
どれ程、恋い焦がれ――
求め続けてきたのか。
だけど――…
「……どうして?」
芹霞の目から零れたのは涙。
許容ではなく――
……拒絶の涙。
「……!!?」
俺は、芹霞のその反応に狼狽した。
――芹霞ちゃあああん!!!
縋れば――
拒まれることは…
今までになかったから。
それは――
自惚れのような、自信で。
ここまで…
拒絶されたことはなかったから。
芹霞は、唇を戦慄(わなな)かせながら言ったんだ。
「櫂も"幼馴染"を拒むの?」
「……え?」
「特別な男って何よ。あたし言ってるじゃない。皆は……櫂は大切だって。大好きだって。昔からあたし、櫂に言い続けているじゃない」
違う。
その"大好き"じゃない。
俺が求めるのは。
「あたし達、永遠でしょう!?」
俺が求めている永遠は!!
幼馴染のものじゃない。
むしろ…
幼馴染の関係のまま、
永遠に過ぎ行くというのなら――
そんなの…耐えられない。
俺は…お前が好きなんだ。
幼馴染だけでは…嫌なんだ。
「永遠なんて……
俺を殺す気かよ」
思わず…ぼやいた。