ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├お姫様の当惑

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「なあ――

いい加減、幼馴染は卒業しないか?」



「俺は、お前の…

"特別な男"になりたいんだ」



あの時の櫂の言葉に、

今の関係を壊したいという櫂に。


あたしの中で――

びしっと何かが音を立てた。


まるで…崩壊する前触れのよう。


あたしは――


これ以上の櫂の変化を、

見たくなかったんだ。



例え8年前。


櫂があたしを切り捨てるように変貌しても。

あたしより紫堂を選んでしまったのだとしても。


――芹霞ちゃんだあい好き。

――あたしも櫂がだあい好き。


例え櫂がもうそれを口にしなくても。

昔の面影を消してしまっても。


それでも。

それまで培ってきたあたし達の絆は、消えることなく…続いているのだと。


あたしと櫂の絆は"永遠"なのだと…


あたしは、信じ続けてきたんだ。


信じ続けることで、櫂の隣にしがみついてきたんだ。


櫂と…"終わる"関係にはならない。

そこいらの薄っぺらい関係ではない。



"永遠"は、あたしにとって…

最高で最強な…切り札だった。



永遠"だけは…

消えることはないはずだった。



櫂の…昔の面影のように、

それは簡単には消えないはずだった。



だけど――


「永遠なんて…

俺を殺す気かよ」



櫂は…違ったんだ?



あんなにあんなに――…


――櫂とあたしは"永遠"。約束ね。

――うん、約束だよ?


約束したのに…。



どうして?



ねえ…

どうして!!!?


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