ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├電脳オタクの対峙
玲Side
**************
「芹霞、見ないッ!!」
慌てて僕は芹霞の目を覆った。
間に合うか!!!?
僕の両手が…
芹霞の乱れた呼吸を感じている。
だけど…それも次第に落ち着きを始め、規則正しくなっていくのが判った。
間一髪か。
何とか――
間に合ったようだ。
僕はもう…
芹霞の心臓は止めさせない。
僕が居て、そんなことにさせやしない。
その決意で…改めて見た。
氷皇の横で、艶然と微笑む少女を。
明治神宮ではじっくりと見れなかった、その姿を。
目許に3つのホクロ。
藤色の着物姿。
漂う空気は、幻惑的で。
何処までも堕落的で。
先刻相対した時よりも、凶々しさを強めていて。
ああ…
僕の血に眠るものと近しいものがある。
僕の心がさざめくんだ。
狂いの…血が。
ざわざわと…理性を狂わせていく、気狂いの血。
僕がひた隠しにしている"僕"の姿。
それを知る氷皇は、だからこそ煽った。
『熱い熱い熱烈ちゅ……』
そして用意されていた"証拠映像"。
よりにもよって…最高潮の映像を。
――あははははは~。
引き出そうとしたのは…"僕"か。
櫂を滅ぼそうとする…狂いの"僕"か。
僕は試されていたのだろう。
僕の理性の限界を。
どんな状況においても、
僕は僕のまま…冷静にいられるのかどうか。
試す…ではなく、遊ばれていたのかもしれない。
そして…僕は、負けてしまった。
自分の欲に。
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「芹霞、見ないッ!!」
慌てて僕は芹霞の目を覆った。
間に合うか!!!?
僕の両手が…
芹霞の乱れた呼吸を感じている。
だけど…それも次第に落ち着きを始め、規則正しくなっていくのが判った。
間一髪か。
何とか――
間に合ったようだ。
僕はもう…
芹霞の心臓は止めさせない。
僕が居て、そんなことにさせやしない。
その決意で…改めて見た。
氷皇の横で、艶然と微笑む少女を。
明治神宮ではじっくりと見れなかった、その姿を。
目許に3つのホクロ。
藤色の着物姿。
漂う空気は、幻惑的で。
何処までも堕落的で。
先刻相対した時よりも、凶々しさを強めていて。
ああ…
僕の血に眠るものと近しいものがある。
僕の心がさざめくんだ。
狂いの…血が。
ざわざわと…理性を狂わせていく、気狂いの血。
僕がひた隠しにしている"僕"の姿。
それを知る氷皇は、だからこそ煽った。
『熱い熱い熱烈ちゅ……』
そして用意されていた"証拠映像"。
よりにもよって…最高潮の映像を。
――あははははは~。
引き出そうとしたのは…"僕"か。
櫂を滅ぼそうとする…狂いの"僕"か。
僕は試されていたのだろう。
僕の理性の限界を。
どんな状況においても、
僕は僕のまま…冷静にいられるのかどうか。
試す…ではなく、遊ばれていたのかもしれない。
そして…僕は、負けてしまった。
自分の欲に。