ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
決定的な僕の敗因は――
煌との映像を見たこと。
あれを見た時の、僕の衝撃は計り知れない。
心臓がぎりぎり締め付けられ、膨れあがる嫉妬で荒れ狂っていたんだ。
嫉妬という名のいばらに、僕は捕まった。
僕だけが見れない…芹霞の"女"の顔。
煌が引き出した…あの顔に。
僕の中の"男"は扇情され、抑えられなくなっていったんだ。
芹霞の首筋の赤い痕。
煽られた僕を、芹霞が拒んだ時。
"僕だけが拒まれる"
"櫂じゃなくても、他には許すくせに"
その苛立ちが、僕の理性に切り込んできた。
櫂だから――
今まで僕は手を出さなかったんだ。
櫂ではなく煌でもいいのなら、僕だっていいだろう?
櫂、お前は全力で来いって言っただろう?
卑怯な"僕"は、全て櫂のせいにして、"男"として芹霞に触れたんだ。
触れたくて仕方が無くなったんだ。
壊れる。
僕が壊れる。
柔らかい芹霞の感触に、
僕の理性は壊れていく。
あるのはただ…自分勝手な陶酔のみ。
芹霞を構成する全てのものが、愛おしくてたまらなくて。
膨張する想いと、僕の欲。
今まで…どんな女を抱いても満たされることのなかった僕の心が、芹霞の肌に触れただけで、満たされていく。
歓喜。
快感。
何だよ、これ……。
一度味わってしまえば、僕は止まらない。
もっと。もっと。
昂ぶる僕の気持ちのように…
更に僕の身体は…芹霞を求めてしまう。