ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├お姫様の過去
**************
今――
蒼生はなんて言った?
「……玲くん。あたし頭変になったみたい。蒼生の台詞、何だかこのあたしが、8年前にすでに死んでいるって言ってるように聞こえてきちゃったの。
あたしに判るよう通訳してくれない?」
そう笑って言ったけれど、あたしの顔は…笑みなど作れない程強張って、唇もぶるぶる震えているのが判る。
促した端麗の顔は、悲痛の翳りを宿したままで、あたしの言葉に応えてくれない。
「玲くん、だっておかしいよね? あたしちゃんと生きているよ? ちゃんと8年間生き続けて、玲くんとも一緒に過ごしてきたじゃない。
ねえ、玲くん。
あたし生きてるよね?」
笑って喋って、食べて寝て。
あたしは普通の、生きている人間の暮らしをしてきた。
死んでいるなんて、笑えない…何かの冗談だ。
だけど…玲くんから、返る言葉はなく。
――大丈夫だよ、芹霞。君はちゃんと生きている。
にっこりと…そんな言葉を期待していたあたしは、途端に不安になってくる。
「ねえ、玲くん。どうして答えてくれないの?
簡単じゃない、頷いて?」
玲くんは答えない。
ただ、泣き出しそうな顔で…あたしを見ているだけ。
今――
蒼生はなんて言った?
「……玲くん。あたし頭変になったみたい。蒼生の台詞、何だかこのあたしが、8年前にすでに死んでいるって言ってるように聞こえてきちゃったの。
あたしに判るよう通訳してくれない?」
そう笑って言ったけれど、あたしの顔は…笑みなど作れない程強張って、唇もぶるぶる震えているのが判る。
促した端麗の顔は、悲痛の翳りを宿したままで、あたしの言葉に応えてくれない。
「玲くん、だっておかしいよね? あたしちゃんと生きているよ? ちゃんと8年間生き続けて、玲くんとも一緒に過ごしてきたじゃない。
ねえ、玲くん。
あたし生きてるよね?」
笑って喋って、食べて寝て。
あたしは普通の、生きている人間の暮らしをしてきた。
死んでいるなんて、笑えない…何かの冗談だ。
だけど…玲くんから、返る言葉はなく。
――大丈夫だよ、芹霞。君はちゃんと生きている。
にっこりと…そんな言葉を期待していたあたしは、途端に不安になってくる。
「ねえ、玲くん。どうして答えてくれないの?
簡単じゃない、頷いて?」
玲くんは答えない。
ただ、泣き出しそうな顔で…あたしを見ているだけ。