ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「玲くん……
――…知ってたの?」
びくっ。
玲くんの身体が震えた。
頑(かたく)なに口を閉ざしていたのに、玲くんの身体は…即座に反応した。
「死んで…たの、本当に…?」
震える声で、蒼生の言葉を…藤姫の言葉を肯定してしまう。
一度受け入れてしまえば、
その道をゴロゴロと転がり堕ちるだけ。
どんなに…否定したいことでも。
「あたしが死んでいるっていうこと、玲くん知ってたのッ!!?」
責めるように玲くんを見つめ、そして…目からは涙が溢れた。
「芹霞、僕は……。
君は……」
蒼白の玲くんは、荒い呼吸繰り返し、握った拳に力を入れると…あたしから顔を背けたんだ。
知って――たんだ?
同時に…決定的になってしまう。
あたしの信じる人が…
蒼生達の言葉を否定しないのなら。
いつもあたしを気遣ってくれる優しい玲くんが、否定という"嘘"をつけない程に、取り乱しているというのなら。
蒼生の言葉は本当だって…
信じるしか…ないじゃない。