ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
藤姫の仕掛けた呪詛を、
片手で何とか出来るほどの強さなのか。
緋狭さんは桜に声をかけた。
「ここの血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)、お前なら何とか出来るな?」
戦闘中の桜は一瞬吃驚したような顔をして、そしてこっくりと頷いた。
「よし。では煌、お前坊と共に行け」
「はあ!? 2人で何とか出来る数かよ!?」
「目的地までの道々も同じ状況だ、お前は坊の護衛役だろう」
「そうだけど……。
………。
……~~ッッ!!
ああ判ったッ!!
櫂、行こう」
決意めいた煌の顔に艶然と緋狭さんは笑い、上げていた手を今度は地面に叩き付けた。
地面に炎が走り、その線上にいた血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)は瞬時に燃え尽きて消滅し――焦げた道が出来たんだ。
芹霞へと続く道が。
未だ赤い空。
空が真紅に彩られている間に、俺は芹霞と玲を連れる。
そう決意して、俺達は道を走った。