ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
僕は櫂の影だ。
その決心は真実。
だけど――矛盾なんだ。
芹霞に関してだけは…
"僕"は櫂の影にはなりたくない。
僕は影を望み、"僕"は芹霞の在る日向を望む。
"僕"を解放したいと願った時から、捻れて持ち続けた僕の感情。
僕の恋情が、僕の立ち位置の決心を崩していく。
どうしたらいい?
だから僕は賭けた。
もし僕が呪詛で助からねば、
"僕"は必要ないということ。
だけどもし僕が助かればその時は――。
「玲くんッッ!!??」
心臓が、発作を起こしかけている。
不規則に鳴り狂う、僕の心臓。
息が乱れて、苦しくてたまらない。
だけど。
あれだけの呪詛プログラムがあって、
発作だけで済んでいるなんてありえない。
済むとすれば――
それは人為的な干渉があったからだ。
"僕"は"生"を望まれているんだろうか。
画面で見た…あの赤い光。
あれは――