ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
藤姫は――…
白い光で護られ、こちらを睨んでいる。
「めうぇと、くそそい・うぜうぉす。
もう遅いわ、紫堂玲。
紫堂櫂は血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)の呪詛を逃れても、私の司る黒の書の力を向けた。
血染め石は――…」
「誰のものだっていうんだよ、バアちゃん?」
偃月刀を肩に担いだ長身。
橙色の髪をした精悍な顔。
「血染め石……芹霞は、
――俺のものだ、藤姫」
射る様な怜悧な切れ長の目。
漆黒の髪をした端正な顔。
櫂と煌が立っていた。