ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
├お姫様の決断
***************
藤姫の口から漏れ出る――
呪文のような…不気味な凶言。
理解し難い意味不明な言葉は、藤姫の…悪しき邪な念を乗せて反響し、更に拡張しているように思えた。
ざわざわと…悪寒のようなものが全身に走り、鳥肌が立つ。
肉体が感じる感覚的恐怖より、もっと奥底にある…言うなれば、本能的な恐怖感が、まるで眠りから覚めるかのように…あたしの胎内で蠢(うごめ)くような気配を見せれば、その悍(おぞま)しさに、ただただ…声を上げたい気分になってくる。
もしあたしが――
その悍しさに耐えられていたら。
この先を不安に思わなかったら。
もしあたしが――
発作を起こした玲くんを、
縋るように見なかったら。
――僕は……ハアッ、ハアッ、君を……1人にしないからね?
あたしを見捨てることない優しい玲くんが、我が身を犠牲にするように…光を放つことはなかったのに。
予感がしたんだ。
この目映い光は、救済の光ではないと。
玲くんを…滅ぼしてしまうと。
玲くんもあたしと同じになるような。
そう――…
この世から消えてしまうような。
駄目だ。
玲くんのこの光は――
摂理に逆らう…
ERRORの光だ。
玲くんが覆い尽くそうとしているのは、藤姫や蒼生ではなく。
それを放つ玲くん自身だ。
玲くんから消えて行く。
表情が…生彩が。
藤姫の口から漏れ出る――
呪文のような…不気味な凶言。
理解し難い意味不明な言葉は、藤姫の…悪しき邪な念を乗せて反響し、更に拡張しているように思えた。
ざわざわと…悪寒のようなものが全身に走り、鳥肌が立つ。
肉体が感じる感覚的恐怖より、もっと奥底にある…言うなれば、本能的な恐怖感が、まるで眠りから覚めるかのように…あたしの胎内で蠢(うごめ)くような気配を見せれば、その悍(おぞま)しさに、ただただ…声を上げたい気分になってくる。
もしあたしが――
その悍しさに耐えられていたら。
この先を不安に思わなかったら。
もしあたしが――
発作を起こした玲くんを、
縋るように見なかったら。
――僕は……ハアッ、ハアッ、君を……1人にしないからね?
あたしを見捨てることない優しい玲くんが、我が身を犠牲にするように…光を放つことはなかったのに。
予感がしたんだ。
この目映い光は、救済の光ではないと。
玲くんを…滅ぼしてしまうと。
玲くんもあたしと同じになるような。
そう――…
この世から消えてしまうような。
駄目だ。
玲くんのこの光は――
摂理に逆らう…
ERRORの光だ。
玲くんが覆い尽くそうとしているのは、藤姫や蒼生ではなく。
それを放つ玲くん自身だ。
玲くんから消えて行く。
表情が…生彩が。