ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
違うんだよ、芹霞。
俺が欲しかったのは…そんな変化じゃない。
駆け付けた俺に、そんな変化を見せられたくはなかった。
煌を見てほっとした顔をして。
俺を見て緊張した面持ちになって。
こんな距離が欲しかったわけではない。
泣き腫らした目。
怯えたような目。
そして、直感的に悟る。
知った――のか。
8年前のこと。
俺がいなければ生きていけなくなって欲しい。
それを現実化していた俺は、確かに有頂天になりすぎていた。
俺だけが特別だと。
俺だけの芹霞だと。
それが嫌だったのか?
俺の…摂理に反した独占的な支配を、侮蔑しているのか?
俺の想いは…
届いて居ないのか?
ああ、あまりにやるせなくて泣きたい気分になる。
芹霞が…遠い。
遠すぎる。